Q1. 相続税はどのくらい財産があるとかかるのか知りたい。
A1. 相続税の基礎控除 3,000万円+(600万円×法定相続人)を超える場合、相続税が課税されます。
平成25年の税制改正で、相続税が増税となる改正が行われました。この改正により、従来は申告・納税の必要がなかった相続についても相続税が課され、税率もアップしています。
- 例:法定相続人が2人(妻と子)の場合
- 3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
上記事例の場合、相続財産が4,200万円以上の場合、相続税が課税されることになります。
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Q2. 相続手続きの流れについて知りたい。
A2. 相続税の申告のためには、相続人の確認、遺言の有無、遺産と債務の確認、遺産の評価、遺産の分割などの手続きが必要です。
- 1.相続人の確認
- 被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認します。
- 2.遺言書の有無の確認
- 遺言書があれば家庭裁判所で検認を受けます。ただし、公正証書による遺言は検認を受ける必要はありません。
- 3.遺産と債務の確認
- 遺産と債務を調べてその目録や一覧表を作っておきます。また、葬式費用も遺産額から差し引くことができます。
- 4.遺産の評価
- 財産の評価については、相続税法と財産評価基本通達により評価します。
- 5.遺産の分割
- 相続人全員で遺産の分割を協議して、分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書を作成してください。また、期限までに分割できなかったときは法定相続分で相続財産をもらったものとして相続税の申告をすることになります。
- 6.申告と納税
- 相続税の申告と納税は、被相続人が死亡した日の翌日から10ヵ月以内に行うことになっています。また、申告書の提出先、納税先はいずれも被相続人の住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地ではありません。
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Q3. 法定相続人について教えてほしい。
A3. 法定相続人は、配偶者、直系卑属、直系尊属、および兄弟姉妹のことであり、これ以外の人が相続人になることはありません。
- 相続人の範囲
- 配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
- 第1順位…子供(および代襲相続人)
- その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人になります。
実子はもちろん養子も含まれます。また婚姻していない者との間に生まれた子は、父親が認知していれば父親の相続人になります。
「胎児」(出生すれば相続人になれる胎内の子)については、民法は既に生まれている子と同様に扱うことにしています。なお、その胎児が死んで生まれた場合にはその相続はなかったものとします。
- 第2順位…直系尊属(父母や祖父母など)
- 父母も祖父母もいるときは、近い世代である父母の方を優先。第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。祖父母は父母が死亡している時に相続人となります。
- 第3順位…兄弟姉妹
- その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
- 内縁の配偶者の相続権
- 相続権がある配偶者は、婚姻届を出されている正式な配偶者にかぎられます。内縁関係の人は、相続人になることはできません。
- 養子、非嫡出子の相続権
- 養子および非嫡出子についても、第1順位の相続人になります。
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Q4. 遺言書の書き方について知りたい。
A4.「良い遺言書」を作成するポイント
- 1.自分の意思を明確に伝え、家族に理解される遺言であること
- どのような遺産の分け方が最良なのか、答えは1つではないでしょう。周りの意見は参考にしても、振りまわされるのはよくありません。
- 2.トラブルを生じさせない遺言であること
- トラブルを防ぐための遺言であるにもかかわらず、実際のところ遺言が紛争の火種となるケースが少なくありません。
- 3.法的に有効な遺言であること
- せっかくの遺言でも、遺言として認められなければ意味がありません。
- 4.遺言執行者を指定しておくこと
- 遺産処理に関する遺言の場合、相続人は利害関係が交錯してスムーズに相続が進まないことがあります。また、遺言の内容によっては専門的な知識や経験が必要となるケースもあります。
- 5.付言事項を必ず付け加えること
- 遺産処理に関する遺言の場合、相続人の利害関係が交錯してスムーズに相続が進まないことがあります。また、遺言の内容によっては専門的な知識や経験が必要となるケースもあります。
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Q5. 相続財産の遺留分について教えてほしい。
A5. 遺留分とは『被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合』のことです。
本来、自らの財産を誰にどのようにあげるのかは自由なはずですが、民法では遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の公平を確保するために、兄弟姉妹以外の相続人に最低限の相続の権利を保障しています。これを「遺留分」といいます。
被相続人による財産の処分によって遺留分を侵害された相続人は、遺留分の額以上の財産を取得した相続人に対して、金銭を請求することができます。これが「遺留分の侵害額請求」です。
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Q6. 遺産の分け方について教えてほしい。
A6. 遺産の分け方は3種類あります。
- 1.遺言による分割
- ※遺留分の注意が必要
- 2.遺産分割協議書による分割
- ※全員で協議して作成。1人でも反対者がいると成立しない。
- 3.民法の法定相続分での分割
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Q7. 相続税の納税猶予制度について教えてほしい。
A7. 被相続人の所有する会社の株式等を後継者である相続人が相続した場合、『相続した議決権株式等の評価額の80%』に対応する相続税の納税が猶予されます。
なお、令和5年3月31日までに特例承継計画を提出し、令和9年12月末までに相続又は贈与した場合は100%納税が猶予されます。
■経済産業大臣の認定要件
- 1.中小企業であること
- 相続税の納税猶予制度の適用を受けるためには、相続発生前に経済産業大臣の認定をうけることが必要となります。「経済産業大臣の認定」を受けるための要件は以下の通りです。
- 2.計画的な承継に係る取組(経済産業大臣の確認)
- 先代経営者の存命中に「経済産業大臣の確認」を受けておく必要があります。ただし、以下の場合には「確認」を受けていなくとも認定の対象となる場合があります。
- 3.経営承認相続人の要件
- ・後継者であり、かつ役員に就任していること
・同族株主で過半数の議決権を有すること
・同族株主の中で筆頭株主であること 等
- 4.相続人の要件
- ・会社を経営していたこと
・同族株主で過半数の議決権を有すること
・同族株主の中で筆頭株主であること
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Q8. 相続時精算課税制度について教えてほしい。
A8. この制度は『高齢者の資産をスムーズに次の世代に渡す』ために設けられた制度です。
この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
贈与者は60歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます。)とされています。
※年齢は贈与の年の1月1日現在のもの
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Q9. 亡くなる直前に被相続人の預貯金を引き出すといけないのですか?
A9. 預貯金の引き出しはかまいません。
生活費、病院代や葬儀費用等の支払が必要になるからです。
しかし、亡くなった時に手許に残っている現金は相続財産になります。
税務署は相続開始日以前5~7年間の被相続人やそのご家族の方の預金の出入り、特にまとまった(多額の)出金(払い出し)について、その使途を細かく調査します。
また、相続の開始後は被相続人の預貯金の口座は凍結されてしまい、遺産分割協議書又は遺言書がないと入金、公共料金の振り替えができなくなります。預貯金は、2019年7月1日から預貯金の額×3分の1×法的相続分の払戻し可。(1B/K 150万円まで)
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Q10. アパートを所有しています。同居の次女が障害者であるため、この子にアパートを残してやりたいができますか?
A10. できます。
- 1.遺言書にその旨を記載する。
- 2.相続時精算課税制度を選択して生前に贈与する。
- (注)特定障害者に該当する場合には、贈与税の特定障害者扶養信託契約にかかる非課税制度(イ.特別障害者は6千万円 ロ.イ以外は3千万円)を利用することも考えられます。
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Q11. 家を出たまま寄りつきもしない兄がいます。遺産を分ける必要がありますか?推定相続人は母と兄と私です。
A11. 事情にかかわらず、法定相続人であれば遺産を相続する権利があります。
お父さんが、あなたとお母さんに財産の全てを相続させる内容の遺言を書くのも良い方法です。お兄さんが遺留分(1/8)を請求する可能性はありますが、法定相続分(1/4)よりも減らす事ができます。
遺言がないときは、遺産分割協議書の作成をしなければならないので、相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要となります。
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Q12. 子Aは金融機関から多額の借入れをしたまま、行方不明になっています。将来の相続のことが心配です。
A12. 遺言を書いて、遺産分割方法を指定しておくことをお勧めします。
遺言書がない場合は、家庭裁判所に申し立て不在者財産管理人を選任し、遺産分割協議に参加させます。7年間以上生死不明のときは、失踪の宣告を請求することができます。
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Q13. このたび父が亡くなりましたが、自宅の名義は17年前に亡くなった祖父のものです。相続はどうなるのですか?
A13. まずはおじいさんの相続手続きから。
まず、おじいさんの相続手続きをする必要があります。
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Q14. 私が相続した財産は、土地と建物だけで預貯金は少ししかありません。相続税がかかるのですがどうすればよいですか?
A14. 延納や物納を考えることになります。
これができないときは借入金をして納付することになります。
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Q15. 相続財産のうちに山林等の相続人には不要な財産があります。必要な財産だけを相続することはできますか?
A15. できません。
単純承認をした場合はすべての財産を相続しなければなりません。
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Q16. 相続の開始があったことを知った日から4カ月後に被相続人に多額の借金があることが判明し、債務超過だとわかりました。これからでも相続の放棄ができますか?
A16. できません。
相続の放棄は相続の開始を知ったときから、3カ月以内(熟慮期間内)に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出しなければなりません。ただし、熟慮期間内の伸長を同所に請求することもできます。
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Q17. 亡くなった父は、米国のハワイにマンションを所有して他人に賃貸していました。この国外のマンションも相続財産として課税対象ですか?相続人全員は日本に住んでいます。
A17. はい。そのマンション(国外財産)も相続税の課税対象です。
日本に住所がなくかつ日本国籍を持たない相続人がそのマンションを相続した場合にも、課税財産になります。
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Q18. 私は長男の嫁に介護で多大な世話になったので、この嫁にも財産を渡したいが、どうすればよいですか?
A18. ご長男のお嫁さんは相続人ではありませんから、生前に対策しておく必要があります。
- 1.渡したい財産を遺言する (遺贈)
- 2.あなたと、ご長男のお嫁さんが養子縁組をする
- このいずれかを選択してください。
もちろん(生前に)ご長男のお嫁さんに財産を贈与することもできますよ。
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Q19. 非上場会社オーナーの相続対策はどうすればよいですか?
A19. 会社オーナーも基本的な対策は一般の個人と同じですが、所有している会社の株式も相続財産になります。
会社の承継、株式の評価と管理、役員退職金支払い資金の準備などを早めに始めることです。また死亡退職の場合は、死亡退職金と弔慰金に非課税規定があります。
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Q20. 自宅以外の土地に建物を所有しており、これに親族が居住している場合の土地と建物の評価はどうなりますか?
A20. 親族がその建物を使用貸借(無償又は固定資産税相当額以下の使用料)により居住しているときは、その敷地と建物いずれも自用として評価します。
賃貸借ならば、土地は貸家建付地、建物は貸家の評価になります。
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Q21. 私と兄は、亡父の遺産を相続し、私は期限内に相続税を納付しましたが、兄は未だ納付していません。私が兄に代わり、納税しなければならないのですか?
A21. 相続等により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責任があります。
ただし、申告期限から5年を経過した等一定の場合は、連帯納付の義務を負わないことがあります。
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Q22. 代償分割(ダイショウブンカツ)って何ですか?
A22. 遺産分割の方法のひとつです。
例えば、同居する長男が分割や売却の難しい自宅などの不動産を相続し、他の相続人に金銭(代償交付金)を支払うことにより遺産分割を成立させることです。
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Q23. 争族になってしまい、申告期限までに財産の分割ができません。申告書の提出と納税を延期してくれますか?
A23. 申告書の提出及び相続税の納付期限(相続開始の日の翌日から10カ月以内)は延期できません。
遺産を法定相続分に応じて取得したものとして申告と納税をしなければなりません。
また、この時には イ.配偶者の税額軽減 ロ.小規模宅地等の評価減 ハ.農地等又は非上場株式等の納税猶予他の優遇措置 を適用できません。
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Q24. 遺言書がなければ必ず法定相続分で分けるのですか?
A24.『遺産分割協議』で決めることができます。
民法の法定相続分にかかわらず、相続人の話し合い(遺産分割協議)で決めることができます。
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Q25. 亡くなった父の預金残高がとても少なくて驚いています。同居の兄が預金を勝手に引き出して競馬・パチンコなどに費消していたようだが何かできないですか?
A25. 明確な証拠がない限り対処は難しいです。
それよりも、お父さんの預金から死亡前にまとまった金額が引き出されているときは、税務調査でその使途を尋ねられる心配がありますので説明できるようにしておいて下さい。
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Q26. 相続税には住民税もかかるのですか?
A26. 相続税に住民税は賦課されません。
かかりませんのでご安心ください。
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Q27. ご香典も相続税の課税価格に加算されますか?
A27. 課税されませんが、香典返しも控除できません。
ご香典は課税されませんが、香典返しも控除できません。
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Q28. お通夜やお葬式の費用、お寺さんへのお布施(戒名・お経料)は控除できますか?
A28. 控除できます。
すべて控除することができます。ご安心ください。
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Q29. 配偶者居住権って何ですか?
A29. 相続開始時に被相続人の建物(配偶者以外の者と共有していた場合を除く)に居住していた配偶者が、遺産分割や遺贈又は家庭裁判所の審判により取得した場合、その建物を無償で使用又は収益できる権利のこと。
存続期間は終身ですが、遺産分割、遺言又は審判により期間の限定もできます。(2020年4月1日施行)
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