住宅取得等資金の贈与税の非課税特例
中小企業の事業承継問題がクローズアップされています。一般的に、事業承継には後継者育成を含めて5~10年かかると言われていますが、統計結果からは問題の先送りが見えてきます。
(1)制度の概要
原則として、年間110万円を超える贈与については贈与税が課税されますが、子や孫が住宅の新築、取得・増改築等(以下「新築等」)をするための対価に充てるための贈与で、一定の要件を満たせば、年間110万円を超える贈与であっても一定の限度額までは贈与が非課税となります。
(2)非課税限度額
住宅用家屋の取得等に係る契約締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
平成28年1月1日~平成32年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
平成31年4月1日~平成32年3月31日(注) | 3,000万円 | 2,500万円 |
(注)消費税率が10%である場合
(3)住宅取得等資金の贈与を受ける子や孫の要件(受贈者の要件)で主なもの
① 贈与者の直系卑属(子・孫)であること[(例)配偶者の両親からの贈与は不可]
② 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること
③ 贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
(保険の解約、株式の売却等がある場合には注意が必要です)
④ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて居住用家屋の新築等をすること[(例)マンションの購入の場合は、引渡しを受けていること]
⑤ 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は遅滞なく居住する ことが見込まれること
(4) 住宅用家屋の新築等の要件で主なもの
① 新築(購入)した家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
② 新築の住宅用の家屋(中古住宅の購入の場合には20年以内に建築されたもの)であること
(5) 贈与税の申告は必ず必要
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告をする必要があります。 この制度を利用して、贈与税額が生じない場合でも、申告をしなければ適用できません。
○消費税率の引き上げを控え、住宅の新築・取得等を考えられている子や孫がいらっしゃれば、この「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度の適用を検討されてみてはいかがでしょうか。
(注) 非課税の特例の適用を受けた金額は、贈与者の相続税の課税価格には算入されませんので、相続税対策としても有効です。
11月25日(土)は通常通り営業いたします。
竹村税理士事務所は本号の担当は、『高品質の申告とサービスで、安心と幸せをお届けします』細谷チームでした。