個人事業主を健康保険の扶養に入れる場合の収入判定について
パート勤務で給与以外に収入が無い配偶者を健康保険の扶養に入れる場合、収入判定は給与の総支給額で行われます。
また、年金のみを受給している人は年金額で行われます。
複数の収入がある方は、複数の収入を合わせた額で行われます。
では、個人事業を行っている配偶者などの収入判定は、どのように行われるのでしょうか?
事業の売上額でしょうか?
所得金額でしょうか?
【収入の限度額】 まず、扶養に入れることができる収入額を確認しましょう。
①60歳未満の方・・・年間収入130万円未満
②60歳以上の方・・・年間収入180万円未満
③一定の障がいのある方・・・年間収入180万円未満【個人事業主の収入の判定】 では、個人事業主の収入判定はどのように行われるのでしょうか?
一般的な中小企業の方が加入する『協会けんぽ』の場合と、大企業が独自で行っている『健康保険組合』の場合でご説明します。
◎『協会けんぽ』の場合 健康保険被扶養者(異動)届の提出時に、扶養に入れたい個人事業主の直近の確定申告書のコピー(第一表と損益計算書)を添付します。
そのコピーより『収入金額』から『売上原価』を差引き、そこからさらに『事業遂行のための必要経費』を控除した額で収入の判定が行われます。
ただし、この『事業遂行のための必要経費』は、損益計算書の経費が全て認められる訳ではなく、減価償却費や交際費は認められず、他の科目についても必要経費に該当するかどうか個別に判断されます。
つまり、売上額でも所得金額でもありません。
書類が年金事務所の窓口で受理されても、その後の審査で扶養が認められないこともあります。
通常、健康保険被扶養者(異動)届は会社の事務担当者が提出を行いますが、確定申告書のコピーの内容について把握できないため、扶養に入れようとする従業員の方と一緒に提出に行くなど工夫が必要です。
◎『健康保険組合』の場合 各健康保険組合の規定により判定方法が異なります。
売上額のみで収入判定を行っている組合や従業員を雇っていると認めない組合などもあります。
また、『事業遂行のための必要経費』の種類を定めている組合もあります。
判定については直接組合に問い合わせましょう。
以上のように、個人事業主を健康保険の扶養に入れる場合の収入判定は、個別に判断されます。
可能性があれば、とりあえず申請してみる。というのが良いのではないでしょうか。