振込手数料の消費税における取扱い
売掛金決済の大部分は預金での振込入金というケースは多いのではないでしょうか。
その場合には、振込手数料を差し引いた金額を入金するのが、一般的な商慣習として幅広く行われています。
振込手数料の経理処理については、大きく2つのパターンが考えられます。
① 支払手数料として、販管費に計上する処理
② 実質的には値引として、売上値引(売上返還)で計上する処理
いずれの経理処理の場合も、最終的な損益に差異はありせんが、消費税の申告を簡易課税方式による場合には、納税額に若干の差額が生じます。(原則課税の場合には差はでません)
【簡易課税制度の概要】
原則課税方式の場合には、「売上に係る消費税-仕入に係る消費税=納税額」 というように実際に支払った対価額を使用して税額が計算されます。
その一方で、簡易課税方式の場合には、「売上に係る消費税-売上に係る消費税×みなし仕入率=納税額」 というように、実際に支払った対価額は一切使用しません。
そのため、簡易課税制度による場合には、どんなに多額の設備投資をしようが、消費税額が減少する(還付になる)ことはありません。
【振込手数料の経理処理が簡易課税制度による消費税額に与える影響】
① 支払手数料として、費用計上する処理
「売上に係る消費税-売上に係る消費税×みなし仕入率 」で税額が算出されるため、納税額には影響を与えません。
② 値引として、売上値引(売上返還)で計上する処理
売上値引として処理する場合には、売上に係る消費税がマイナスされることになります。算式では、「(売上に係る消費税-振込手数料に係る消費税)-(売上に係る消費税-振込手数料に係る消費税)× みなし仕入率 」 ということになります。
つまり、振込手数料を売上値引として処理する場合には、僅かですが消費税額が減少することになります。
以上のように、振込手数料の経理処理は、簡易課税方式の場合、「売上値引」処理する方が消費税は有利になります。
もし、経理処理の変更がお手数でなければ、これを機会にご検討をされてみてはいかがでしょうか。
参考 : 中国税理士会報 2017年3月10日号
4月8日(土)、22日(土)は通常通り営業させて頂きます。
竹村税理士事務所は本号の担当は、『高品質の申告とサービスで、安心と幸せをお届けします』 細谷チーム でした。